奨学生のメッセージ
後輩にお奨めする理由
第1期奨学生の10人の多くは、学奨財団をお奨めする理由として、有力企業などで仕事をしている、財団役員等や協賛社/賛助会員などのサポーターの方々と会話・交流する機会をもてることを挙げました。明確な選考基準によって、求められる人物像が分かりやすいとの指摘も複数ありました。10人の個別メッセージを以下に示します。
自己紹介
第1期奨学生の自己紹介文を以下に示します。どのような学生が合格しているのかを知ることは、応募検討者が小論文(テーマは「ガクチカと社会」)の構想や面接を準備するうえで役立つ可能性があります。
インタビュー
全授業を英語で学び、地域連携サークルで多様な経験
- 話し手|答国際教養大学国際教養学部 梅ヶ枝 桜
- 聞き手|問学奨財団理事長 村中敏彦
話し手である
国際教養大学国際教養学部梅ヶ枝 桜さん
- 国際教養大学は、知る人ぞ知る、特色ある公立大学ですね。よく知らないという方に向けて、大学の特色について説明してくださいますか。
- 国際教養大学は文字通り、「国際的な教養」を身につけることを目指した学校です。すべての授業が英語で行われ、学生は社会学、経済学、心理学、環境科学など幅広い分野を学ぶことができます。交換留学制度があるので、留学生との関わる機会も多くあります。
- 大阪出身の梅ヶ枝さんが秋田の大学に進学しようと思ったきっかけは、どのようなことですか。
- 国際教養大学が秋田にあったからです。公立大学で唯一、英語で授業を行い、また、リベラルアーツを極めて重視しています。費用を比較的抑えることができ、世界を視野に入れた学びを得られる点が魅力的でした。元々自然が好きだったので、秋田県の自然に触れることも楽しみでした。
- 地域連携サークル「会う輪」の活動について、3枚の写真を提供してくれました。1枚ずつ、どのような場面なのか、また活動の楽しさについて説明してください。
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会う輪は、秋田の地域の方との交流を目的としたサークルです。1枚目の写真は、農作業のお手伝いとして、冬に向けた準備となる牧草集めをしたもの。2枚目は、ソユスタ学園祭にて、藁を使った、フィンランドの飾り「ヒンメリ」や地域の果樹園のリンゴジュースを販売したもの。3枚目は、古民家改修のお手伝いで、壁を作るための木を切ったときものです。県内の多くの地域の方々と談笑し、多様な経験を得られるのがとても楽しいです。
- 学業について伺います。すべての授業を英語で実施、受講しているそうですね。英語で学ぶ苦労、予習や復習を含めて取り組む際の工夫には、どのようなことがありますか。
- 事前知識のない分野の授業では、英語で専門用語を理解するだけでなく、概念なども英語で理解する必要があります。特に哲学の授業は苦労しています。日本語で調べて理解を深めたり、授業後に教授に質問したりしています。
- 学びが大きかった科目では、どのようなことが印象に残っていますか。
- Community Developmentの授業では、地域やコミュニティが抱える問題や取り組みを学びます。フィールドワークを通して、講義や書籍、ネット情報からではわからない問題や苦労を学べます。地域発展に取り組むには、地域のことを深く知ること、多くの経験を得ることが大事だということが学べました。
- ありがとうございました。今後の学生生活がより充実したものとなるように期待しています。
農業の実習、海外でのインターンや政府交流事業で活動
- 話し手|答明治大学農学部 M.Mさん(匿名希望)
- 聞き手|問学奨財団理事長 村中敏彦
話し手である
明治大学農学部M.Mさん
- 明治大学農学部で学んでいますね。農学部をよく知らないという方に向けて、どのようなところか、説明してくださいますか。
- 農学部は、微生物から植動物に至るまで、人類に関わる生き物全般について取り扱う学部です。農学はもちろん、農芸化学、生命科学など幅広い分野の研究・教育が行われています。私はいわゆる農業経済学に分類される「食料環境政策学科」にて、食料問題や環境問題を中心とした、農業が抱える社会問題について学んでいます。
- 学びが大きかった科目では、どのようなことが印象に残っていますか。
- 「農場実習」という科目における、大学が保有する農場での農業体験が最も印象に残っています。畑での野菜の栽培はもちろん、水耕栽培や自分たちで収穫した作物を使用した加工実習等も行いました。里山実習では、落葉掃きで集まった落ち葉を利用した堆肥を見学し、持続可能なシステム導入の大切さを学びました。
- 農作業の写真を提供してくれました。これはどのような活動、場面ですか。
- 大学の「ファームステイ実習」という活動でスナップエンドウを収穫している場面です。山口県の農事組合法人にて、一週間ほど農作業を手伝いました。農家の方々と寝食を共にし、様々な対話を重ねたことで、農業・農村の実情について深く学べたと思います。
- ベトナムでのインターンシップに関するプレゼンテーションの写真を提供してくれました。これはどのような活動ですか。
- ベトナムの大学における一カ月間のインターンシップを終えた後に、その成果等をまとめて同国中部にある第三の都市ダナンでプレゼンテーションを行っている様子です。私はベトナムの食文化を、ベトナムの大学に留学してきた海外大学生に紹介するための資料作成や、留学生がベトナムで参加できるボランティア団体の情報収集等を担当しました。普段大学で学んでいる学問に関連した業務も多くありました。インターンシップ先の企業の上司とは、オンラインと対面を併用し、英語でコミュニケーションを取りました。
- 日本・韓国青年親善交流事業の代表青年としての活動の写真を提供してくれました。これはどのような活動ですか。
- 文化紹介の一環として、日本の民謡を紹介している様子です。日本・韓国青年親善交流事業とは、両国の青年相互の理解と友好の促進を図ることを目的とした日韓両政府による共同事業です。15日間、日本代表青年として韓国に派遣され、ソウルや様々な地方を巡り、地球環境、文化、教育、社会福祉等の各種施設、先進企業を訪問しました。また、韓国代表青年との交流やメディアの日韓比較などに関するディスカッションも行いました。
- ありがとうございました。今後の学生生活がより充実したものとなるように期待しています。
宇宙産業従事を目指して鳥人間サークルや学業に精励
- 話し手|答東京理科大学 創域理工学部 宮原 大知
- 聞き手|問学奨財団理事長 村中敏彦
話し手である
東京理科大学 創域理工学部宮原 大知さん
- 東京理科大学は、理工系の私立大学ですね。よく知らないという方に向けて、大学の特色について説明してくださいますか。
- 東京理科大学は1881 年に創立された歴史ある大学です。実力を備えた学生のみを卒業させるという実力主義をモットーとしています。夏目漱石の小説「坊つちやん」で、主人公が通っていた大学としても有名です。2015 年には日本の私立大学としては初めてノーベル賞受賞者を輩出しました。研究力に優れていると評価されています。
- 宇宙産業に携わることを目指して学業に取り組んでいるそうですね。宇宙に関心をもつきっかけは何でしたか。
- 宇宙に関心を持ったきっかけは小惑星探査機「はやぶさ」のニュースを目にした時です。プロジェクトに携わった方々の熱意をテレビ越しに感じ、宇宙という未知の世界に挑む仕事に憧れを持ちました。無限の可能性を秘めた宇宙に携わるうえで役立たない学業はありません。理工系を中心に幅広い科目に熱心に取り組んでいます。
- では、学業で印象に残っているのは、どのようなことですか。
- 学問がどのように社会に貢献しているのか知った時の感動です。例えば、微分積分です。高校では計算方法だけ理解するという方が多いでしょう。私は大学に入って、建築や電磁気、果ては経済学に至るまで、微分積分が様々な場面で必要になることを実感でき、それ以来、街中の建造物や日用品の見方が変わりました。
- 鳥人間サークルの活動について、多くの写真を提供してくれました。1枚ずつ、どのような写真なのか、説明してください。
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1枚目は翼の写真です。2枚目は胴体にプロペラを取り付けて、回転試験を行ったときの写真です。3枚目はプロペラの回転とパイロットのペダルの回転を紐づけるギアボックスというパーツです。4枚目は完成した機体を後ろから撮った写真です。5枚目は実際に組み立てた機体を走らせる滑走試験を行う瞬間の写真です。滑走試験では部員たちで機体を押して全力で走ります。設計は自転車に乗って後ろから追いかけ指示を出します。5枚目の写真で自転車に乗っているのが私です。
- 宮原さんは鳥人間サークルでのような役割を担っているのですか。
- 設計という役職です。計画を立て、仲間たちに製作、組み立てなどの指示を出します。外部施設を利用する際の手続きや他団体との交流など外交面の仕事、人間関係面の配慮なども重要な仕事です。飛行機製作を通して、組織で最も重要なのは良好な人間関係であると学ぶことができました。人が自然と集まるような空間を作ることが組織を作る第一歩だと考えています。
- 鳥人間サークルで大きなニュースがあったそうですね。
- 鳥人間コンテスト2024に出場することが2024年3月に決定しました。7年ぶりの出場です。これほど間隔が空いたのは、コロナ禍による部員減少や技術継承の失敗があったためです。私が入部した当時、部員は2年生のみ、1年生は私だけでした。飛行機製作はもちろんですが、過去の運用方法を知るためにOB・OGの皆さんに協力をお願いしつつ、同時に部員や新入生がサークルに定着してくれるような取り組みなども必要で、とても苦労しました。それだけに、今回の出場決定はとてもうれしかったです。
- 学奨財団での交流は何か役立ちましたか。
- 自分1人で仕事をさばききれず、人事面がおろそかになっていた頃に、学奨財団の交流会に参加し、企業ではどのようなマネジメントをしているのかという質問を軸に、学奨財団の皆さんと会話しました。そこでは、部員の私に対する従順度と組織に対する影響力によって仕事の割り振り方を変える、名前だけでもいいから役職に就かせる、といった提案や助言をいただきました。これらの実践で、マネジメントの方針が明確になり、仕事を迷わず割り振れるようになり、心理的負担感が減りました。役職をつけた途端、急にサークルに来てくれるようになった人が何人もいました。学奨財団の最大の強みは就活や就職後に生かせる助言を得られることだと思いますが、私の等身大の悩みも親身に聞いていただけます。大学生のうちに対等に大人とコミュニケーションを取れる場は想像以上に貴重なものだなと実感しました。
- ありがとうございました。今後の学生生活がより充実したものとなるように期待しています。